国税庁はこのほど、インボイスコールセンターに寄せられた質問のうち、とくに問合わせの多い事項を集約した「お問合せの多いご質問」を更新しました。「お問合せの多いご質問」は、インボイス制度の概要やインボイス発行事業者の登録制度、インボイス発行事業者の義務、インボイス制度下での仕入税額控除の要件、令和5年度税制改正法案等の内容について全15の設問からなります。
今回追記されたのは、「税抜経理を採用し、積上げ計算を行っている場合における適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れに係る経過措置を適用する場合の税額計算」。売上税額の計算は積上げ計算方式によることとし、税抜経理を採用していることから、適格請求書等保存方式下における仕入税額の計算については帳簿積上げ計算方式を採用する予定の事業者が、令和8年9月30日までの間に行う経過措置の適用を受ける適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れに係る消費税額の計算方法について、具体的な計算例を挙げて質問しているものです。
これは「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和4年11月改訂)」の公表後、問合せの多い事項について追加問として整理し、集約したものです。なお、免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置を適用する場合の具体的な控除割合や計算方法については、「消費税の仕入税額控除における適格請求書等保存方式関するQ&Aの問112」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf
を参照してください。
下記に「適格請求書等保存方式の概要等」と「適格請求書発行事業者の登録制度」について、抜粋してご紹介します。
Ⅰ適格請求書等保存方式の概要等
問1:適格請求書等保存方式(いわゆる「インボイス制度」)の概要を教えてください。
【答】
令和5年10月1日以後、区分記載請求書等保存方式における請求書等の保存に代えて、「適格請求書発行事業者」から交付を受けた「適格請求書等」の保存が仕入税額控除の要件となります。適格請求書発行事業者は、取引の相手方である課税事業者から求められた場合、適格請求書等の交付及び写しの保存が義務付けられます。
適格請求書には、区分記載請求書の記載事項に加え、適格請求書発行事業者登録番号、適用税率及び税率ごとに区分して合計した消費税額等を記載する必要があります。
また、適格請求書等保存方式(以下「インボイス制度」といいます。)開始後、6年間(令和5年10月から令和11年9月までの間)は、免税事業者等からの課税仕入れについて、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。
なお、この経過措置による仕入税額控除の適用に当たっては、免税事業者等から受領する区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等の保存とこの経過措置の適用を受ける旨(80%控除・50%控除の特例を受ける課税仕入れである旨を記載した帳簿の保存が必要です。
この経過措置を適用できる期間等は、次のとおりです。
・令和5年10月1日から令和8年9月30日までは仕入税額相当額の80%
・令和8年10月1日から令和11年9月30日までは仕入税額相当額の50%
インボイス制度の概要について詳しくお知りになりたい方は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問1」をご覧ください。
Ⅱ適格請求書発行事業者の登録制度
(登録の手続)
問2:適格請求書発行事業者の登録は、どのような手続で行うのですか。
【答】
適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者(登録を受けることができるのは、課税事業者に限られます。)は、納税地を所轄する税務署長に適格請求書発行事業者の登録申請書(以下「登録申請書」といいます。)を提出する必要があります。
登録申請書は、e-Taxを利用して提出できますので、ぜひご利用ください(個人事業者はスマートフォンでも手続が可能となります。)。詳しくは、インボイス制度特設サイト内「申請手続」
に掲載されている「適格請求書発行事業者の登録申請データ作成マニュアルe-Taxソフト(WEB版))」等をご覧ください。
なお、郵送等により登録申請書を提出する場合の送付先は、各国税局(沖縄国税事務所を含みます。以下同じです。)のインボイス登録センターとなります。インボイス登録センターの所在地や登録申請書等の様式については、インボイス制度特設サイト内「申請手続」をご覧ください。
登録申請書の提出を受けた税務署長は、登録拒否要件に該当しない場合には、適格請求書発行事業者登録簿に法定事項を登載して登録を行い、登録を受けた事業者に対して、その旨を通知することとされています。
また、適格請求書発行事業者の情報は、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」において公表されます。
なお、免税事業者が登録を受ける場合の手続については、問5《免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合》をご参照ください。
(登録通知)
問3:適格請求書発行事業者の登録は、どのような方法で通知されますか。
【答】
適格請求書発行事業者の登録の通知については、登録申請書をe-Taxにより提出して、登録通知について電子での通知を希望した場合は、「送信結果・お知らせ」の「通知書等一覧」に登録番号等が記載された登録通知書がデータで格納され、その他の場合は、書面にて登録番号等が記載された登録通知書が送付されます。(格納された登録通知データの確認については、インボイス制度特設サイト内「申請手続」
に掲載されている「登録通知データ確認マニュアル」等をご覧ください。
電子データでの登録通知を希望していただくことで、
・税務署での処理後、速やかに電子通知が行われるため、書面より早期に登録通知書を受領することができる
・「通知書等一覧」内にデータ保管されるため、登録通知書の紛失のおそれがない(保管されたデータは、書面により出力することやPDFデータでの保存をすることが可能)
などのメリットがありますので、ぜひご利用ください。
なお、登録通知書は、原則として再発行を行いませんので大切に保管してください。
(登録申請のスケジュール)
問4:インボイス制度が始まる令和5年10月1日から登録を受けるためには、いつまでに登録申請書を提出すればよいですか。
【答】
インボイス制度が始まる令和5年10月1日から登録を受けようとする事業者は、原則として、令和5年3月31日までに納税地を所轄する税務署長に登録申請書を提出する必要があります。登録申請書は、e-Taxを利用して提出できますので、ぜひご利用ください(個人事業者はスマートフォンでも手続が可能となります。)。
郵送等により登録申請書を提出する場合の送付先は、各国税局のインボイス登録センターとなります。インボイス登録センターの所在地は、インボイス制度特設サイト内「申請手続」をご覧ください。
なお、免税事業者が登録を受けるためには、原則として、消費税課税事業者選択届出書(以下「課税選択届出書」といいます。)を提出し、課税事業者となる必要がありますが、適格請求書発行事業者登録簿に登載された日(以下「登録日」といいます。)が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中である場合は、課税選択届出書を提出しなくても、登録を受けることができます。
詳細については、問5《免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合》をご参照ください。)
令和5年度税制改正の大綱(閣議決定)を踏まえた、令和5年4月1日以後の登録申請の取扱いについては、国税庁ホームページ「インボイス制度特設サイト」の「申請手続」をご確認ください。
(免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合)
問5:免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合の取扱いについて教えてください。また、この場合、いつから課税事業者となりますか。
【答】
免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受けることとなった場合には、登録日(令和5年10月1日より前に登録の通知を受けた場合であっても、登録の効力は登録日から生じることとなります。)から課税事業者となる経過措置が設けられています。
したがって、この経過措置の適用を受けることとなる場合は、登録日から課税事業者となり、登録を受けるに当たり、課税選択届出書を提出する必要はありません。
なお、経過措置の適用を受けて適格請求書発行事業者の登録を受けた場合、基準期間の課税売上高にかかわらず、登録日から課税期間の末日までの期間について、消費税の申告が必要となります。
(注この経過措置の適用を受ける登録日の属する課税期間が令和5年10月1日を含まない場合は、登録日の属する課税期間の翌課税期間から登録日以後2年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間については免税事業者となることはできません。
詳しくは、こちらをご覧ください。
参照ホームページ[国税庁]
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